リスケ実施後、その後どうなる?〜リスケ後の実施事項〜

前回までの記事では、リスケ(返済条件変更)に至るまでの流れをご説明しました。
今回は「リスケ後に会社がどう動くべきか」について解説します。
今回は「リスケ後に会社がどう動くべきか」について解説します。
1. リスケ後の義務はあるのか?
リスケを申し込み、すべての借入先銀行が了承すると、必要書類へ記入・押印を行い、正式に返済猶予が始まります。
もちろん、永遠に猶予が続くわけではありません。一般的には半年契約が多いですが、実際に半年で正常返済に戻れるケースは稀で、1年以上、会社によっては数年に及ぶこともあります。そのため、半年ごとのリスケ契約を更新していくことになります。
リスケ期間中、「これをしなければならない」という明確な義務はありません。
しかし、「勝手にしてはならないこと」は存在します。
もちろん、永遠に猶予が続くわけではありません。一般的には半年契約が多いですが、実際に半年で正常返済に戻れるケースは稀で、1年以上、会社によっては数年に及ぶこともあります。そのため、半年ごとのリスケ契約を更新していくことになります。
リスケ期間中、「これをしなければならない」という明確な義務はありません。
しかし、「勝手にしてはならないこと」は存在します。
2. リスケ中に“勝手にしてはいけない”こととは?
● 1つ目:勝手な返済
経営が思った以上に改善し、資金に余裕ができたとしても特定の銀行だけへ返済することは厳禁です。これは前回のブログで説明した「偏頗弁済(へんぱべんさい)」の考え方に反するものになります。
● 2つ目:相談なしの大きな経営判断
銀行への相談なしの大きな経営判断は控えるべきです。代表例は 大きな資産の購入・売却 です。
リスケ中にも関わらず、大金を要する出費する高額な資産購入は、返済を猶予している銀行が良い顔するはずがありません。また、資産売却についても、事業継続に不可欠な資産である可能性があるため、銀行にとっては重要な情報になります。
もちろん、法律や契約で「購入・売却をしてはいけない」「一定金額以上は報告しなければいけない」といったルールが明文化されているわけではありません。
ただし銀行側としては、「返済猶予している以上、経営に大きな影響のある判断は事前に相談してほしい」という思いがあります。「ルールにない以上はどうしようが勝手」と言えばそれまでですが、銀行との信頼関係を考えればやはり大きな経営判断の前には一言銀行に相談するのがいいでしょう。今回は資産の購入・売却という代表例を挙げましたが、リスケ中は大きな経営判断(新規事業参入・撤退など)を行う際は、必ず銀行へ相談するのが望ましいと言えるでしょう。
経営が思った以上に改善し、資金に余裕ができたとしても特定の銀行だけへ返済することは厳禁です。これは前回のブログで説明した「偏頗弁済(へんぱべんさい)」の考え方に反するものになります。
● 2つ目:相談なしの大きな経営判断
銀行への相談なしの大きな経営判断は控えるべきです。代表例は 大きな資産の購入・売却 です。
リスケ中にも関わらず、大金を要する出費する高額な資産購入は、返済を猶予している銀行が良い顔するはずがありません。また、資産売却についても、事業継続に不可欠な資産である可能性があるため、銀行にとっては重要な情報になります。
もちろん、法律や契約で「購入・売却をしてはいけない」「一定金額以上は報告しなければいけない」といったルールが明文化されているわけではありません。
ただし銀行側としては、「返済猶予している以上、経営に大きな影響のある判断は事前に相談してほしい」という思いがあります。「ルールにない以上はどうしようが勝手」と言えばそれまでですが、銀行との信頼関係を考えればやはり大きな経営判断の前には一言銀行に相談するのがいいでしょう。今回は資産の購入・売却という代表例を挙げましたが、リスケ中は大きな経営判断(新規事業参入・撤退など)を行う際は、必ず銀行へ相談するのが望ましいと言えるでしょう。
3. リスケの出口(正常化)
「勝手な返済をしない」「大きな判断は銀行へ相談する」という基本を守っていれば何もしなくても良いかというと、そうではありません。
最も重要なのは【リスケの出口(正常化)の道筋を作ること】です。
リスケによって一時的に資金繰りが改善して、手もと資金が増えることもあると思います。しかし、根本的な問題が解決したわけではありません。
返済はいつか必ず再開しなければならないもの。
それをどう実行していくか考え、準備することがリスケ期間中の最重要事項だと言えます。
出口を考える上での視点は次の2つです。
● 1つ目:経営改善の道筋を作ること(計画づくり)
まず経営改善についてです。リスケに入った理由は十中八九が経営不振なわけですから、リスケの出口に向けて経営を立て直すことは必須です。
簡単に言ったものの、経営を立て直すことは簡単なことではありません。よって、まず求められるのは「計画」です。
内容は、「現状を踏まえ、いつまでに、何を行い、どれだけ利益を生み、どのタイミングから返済を再開するか」という感じのものです。
当たり前ですが、適当に作ってはいけません。「5年後に売上を倍にします」と言うのは簡単ですが、当然根拠を求められます。できることとできないことがある中で、実現可能で、効果の高い施策を見極めて計画を作る必要があります。
「計画づくりは難しい」と思う方が多いと思いますが、この点については次回以降のブログで詳しく解説します。
● 2つ目:どのように返済を再開するか
例えば、例えば令和7年12月1日の時点で「借入残金:960万円、返済残期間:4年(48ヶ月)、毎月20万円返済、リスケ期間:1年間」といった条件を想定します。返済日を月末としましたら、完済は令和11年11月31日になります。
この借入れを令和7年12月より1年間リスケしたとします。めでたく1年間で経営改善が進み、令和8年12月から正常返済をすることになりました。この場合、契約の返済期限を考慮すると、リスケが終わる時点で借入残高が変わらないため、残り36ヶ月で返済するなら月27万円弱の返済が必要になります。
しかし、元の返済額より増額して返済できるほど経営が回復するケースは多くありません。また、完済日を守っていても返済額を変える時点で再リスケ的(契約変更)な扱いになってしまいます。
そのため多くの場合、借り換え(新規借入で既存リスケ分を完済)が行われます。ただし、この借り換えには借り換えのプラン作成、銀行との交渉等の専門知識が必要です。加えて、信用保証協会の制度を使うケースが大半で、こちらの知識も必要です。
先の計画作りと合わせてますますリスケからの脱却は難しいのでは、となりますが、ここからがミソとなります。リスケ脱却のための計画作成を支援する国の制度があるという点です。
次回の記事では、この国の支援制度について詳しくお伝えします。
最も重要なのは【リスケの出口(正常化)の道筋を作ること】です。
リスケによって一時的に資金繰りが改善して、手もと資金が増えることもあると思います。しかし、根本的な問題が解決したわけではありません。
返済はいつか必ず再開しなければならないもの。
それをどう実行していくか考え、準備することがリスケ期間中の最重要事項だと言えます。
出口を考える上での視点は次の2つです。
● 1つ目:経営改善の道筋を作ること(計画づくり)
まず経営改善についてです。リスケに入った理由は十中八九が経営不振なわけですから、リスケの出口に向けて経営を立て直すことは必須です。
簡単に言ったものの、経営を立て直すことは簡単なことではありません。よって、まず求められるのは「計画」です。
内容は、「現状を踏まえ、いつまでに、何を行い、どれだけ利益を生み、どのタイミングから返済を再開するか」という感じのものです。
当たり前ですが、適当に作ってはいけません。「5年後に売上を倍にします」と言うのは簡単ですが、当然根拠を求められます。できることとできないことがある中で、実現可能で、効果の高い施策を見極めて計画を作る必要があります。
「計画づくりは難しい」と思う方が多いと思いますが、この点については次回以降のブログで詳しく解説します。
● 2つ目:どのように返済を再開するか
例えば、例えば令和7年12月1日の時点で「借入残金:960万円、返済残期間:4年(48ヶ月)、毎月20万円返済、リスケ期間:1年間」といった条件を想定します。返済日を月末としましたら、完済は令和11年11月31日になります。
この借入れを令和7年12月より1年間リスケしたとします。めでたく1年間で経営改善が進み、令和8年12月から正常返済をすることになりました。この場合、契約の返済期限を考慮すると、リスケが終わる時点で借入残高が変わらないため、残り36ヶ月で返済するなら月27万円弱の返済が必要になります。
しかし、元の返済額より増額して返済できるほど経営が回復するケースは多くありません。また、完済日を守っていても返済額を変える時点で再リスケ的(契約変更)な扱いになってしまいます。
そのため多くの場合、借り換え(新規借入で既存リスケ分を完済)が行われます。ただし、この借り換えには借り換えのプラン作成、銀行との交渉等の専門知識が必要です。加えて、信用保証協会の制度を使うケースが大半で、こちらの知識も必要です。
先の計画作りと合わせてますますリスケからの脱却は難しいのでは、となりますが、ここからがミソとなります。リスケ脱却のための計画作成を支援する国の制度があるという点です。
次回の記事では、この国の支援制度について詳しくお伝えします。